そしてまあ、飛んで次の日。

結論だけ言うのならば、オレは戻った。

普通の人間に。


昨日は自分の家に帰るわけにもいかず、黒子の家に泊った。

親御さんへの挨拶は、失礼ながらも、帽子を被ったままでさせてもらった。

ちなみにしっぽは上着の中に押し込んだ。



そしてそのまま黒子と一緒に寝ようと思ったらベッドから思い切り蹴りだされ、

一人さびしく来客用の布団で寝て、朝起きたら普通の人間に戻っていた。


彼はそれに、あからさまに残念そうな顔をした。


「次の日には戻っちゃうのなら、昨日の夜のうちにもっともふもふしておくんでした…。」

「言っとくけど、黒子っちがオレのことベッドから蹴りだしたんスからね。」

言えば、本当に残念そうにため息をついた。

そんなにもふもふしたかったんスか。




それでも黒子は直ぐに気を取り直して、

「次はいつなんでしょうかね。」

と笑顔で言っていた。



正直、とても勘弁してほしい。

勘弁してほしいが、彼のあの楽しそうな姿が見られるのなら、ちょっとアリかもしれないと思う自分もいる。

そんな自分をちょっと殴りたい。




「……次っスか…。」

「次はうさ耳とかいいですよね。」

「いやもうホント勘弁してください。」




次は何か、と楽しそうに考えている彼は、人間界の法則などつまらないものに興味はないらしい。

しかしそんな彼にベタ惚れなオレは、相当末期だ。







ちなみに次に火神に会った時とても残念そうな顔をされたのだが、

このときのオレは、まだ知る由もなかった。





(とりあえず、彼の携帯のデータを削除させることから始めようと思います。)





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キツネいいですよねキツネ。

もっふもふですよきっと。