「ねえ、黒子っち。」

「何ですか、黄瀬君。」









なぞかけっこ










「オレねえ、好きなひとがいるんスよ。」

「奇遇ですね。僕もいるんですよ。」




「オレね、その人のこと、だぁいすきなんスよ。」

「そうですか。」


「その人はね、すっごく可愛いんスけど、すっごくかっこいいんス。」

「そうですか。」


「誰よりもひとの気持を考えて、誰よりもひとに優しいひとでね。」

「そうですか。」


「でも、だからこそ、オレとしては、自分自身を大切にしてほしいんスけど。」

「そうですか。」


「それで本が好きだなんて、オレには考えられない趣味を持ってる人なんス。」

「そうですか。」


「動物に例えるなら、小さな黒猫っスかね。きっと毛並みもいい。」

「そうですか。」


「普段はとっても強いのに、でも本当はとっても弱い一面なんかもあったりして。」

「そうですか。」


「だけどそんなところも愛おしくって堪らないんス。」

「そうですか。」


「だからオレは、その人を、とてつもなく愛してるんスよ。」

「じゃあその人は幸せですね。」

「どうして?」

「そんなに自分のことを分かってくれて、なおかつその人から好意まで受けているひとを幸福ではなくなんだというんです。」

「そっか。それなら嬉しい。」





「ところで黄瀬君。」

「うん?」


「僕にも、とても好きなひとがいるんですよ。」

「うん。」


「まあ身長が僕よりも高くて、たまにイラッとくるんですが。」

「うん。」


「その人は、黙っていれば恰好いいのに、なんでか口を開くと残念になってしまうんです。」

「うん。」


「そんな姿はまるでゴールデンレトリバーですね。黄色の大きな可愛い犬にしか見えないです。」

「うん。」


「でもそんなところも可愛くて、僕は案外好きだったりするんですけども。」

「うん。」


「普段はふざけでばかりでお調子者のくせに、きっと誰より傷つきやすいのを、僕は知ってるんです。」

「うん。」


「でもそれすら人に読みとられまいと必死に笑う姿は、僕が護りたいんです。」

「うん。」


「そして僕は、この人を、とても愛しているんですよ。」

「じゃあその人も、幸せっスね。」

「どうしてですか?」

「だって認めてもらえて心配してもらえて、さらにその姿を愛しいと言ってもらえる。これは幸福以外の何物でもないっスよ。」

「そういうものですか。」

「うん。」

「それなら良かったです。」





「オレね、好きなひとがいるんス。」

「奇遇ですね。僕もいるんですよ。」



「その人はね、今オレの目の前で、オレの話をしているんスよ。」

「その人はですね、今僕の目の前で、僕の話をしているんです。」




「ってなわけで、黒子っち。」

「というわけで、黄瀬君。」









君を愛しています。


どうぞお付き合いして下さい。












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そんなわけだから君は、自分のことを幸福だと思ってくれているんだよね!