とりあえず、さすがにオレに何の縁もゆかりもない場所に居るとは考えられず、思いついた場所から回ることにする。

近さ的に、ついうっかり以前火神を含む3人でプレーをした公園に来てみたが、やはり誰も居ない。



ぴゅうと冷たい風が頬を掠めて、首に巻いていたマフラーを少しだけ伸ばした。


「…この寒いのに外、ってことは、さすがにないかな…。」


普通に考えて、いつ来るかも分からないオレを待つためだけに、あの二人が黒子をこんな寒い場所に置いておくわけがない。

黒子がなんと言おうとも、あの二人なら阻止するはずだ。


そう考えると、とりあえず屋外の候補は頭の中で却下した。





「コンビニ…も、ないか。」

中学時代、よくキセキたちでぞろぞろと行った場所。

皆で違う種類のアイスを買って一口ずつ回した記憶は、未だに鮮明に残っている。


それでも、オレが行くまで何時間もコンビニの中に居るなんて、どう考えても不自然だ。

そう考えると、コンビニは却下。

同じ理由で、本屋も却下した。

黒子だけならまだしも、あの二人もいるのだろうと考えると、不自然極まりない。






「どっか座って居られるところ、かな。」

そう思うと、彼御贔屓のシェイクが売られているマジバが一番に頭に浮かんだ。

あそこならば女子高生がきゃっきゃと恋愛話に花を咲かせて何時間もいることも良くあるし、まあ、男子高校生が居ても不自然ではないだろう。

いや、男3人で何時間もいたら違和感こそあるだろうが。



じゃあ、とりあえず、マジバ。

そうくるりと踵を返して、道を抜けて行く。


冷たい気温の中、寄り添う恋人同士を見ると、早く逢いたいと思わずに居られない。




かじかむ手を擦り合わせながら、そっと息を吐いた。











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