「黒子っち、黒子っち、オレね、オレのことなんて、絶対に好きにならない黒子っちが好きだよ。」



眩しい笑顔で言われる言葉に、僕はいつだって、一度顔を下に向けてから彼を見る。



「そうですか。僕は君のことがだいきらいですよ。」




うそつきとしょうじきもののはなし




何かがからりと落ちた。

まるでパズルのピースのようだった。

出っ張っていた部分が千切れていて、なぜだかとても美しいと思った。




「それをちょうだい。」

こちらに手を差し出して言う彼に、本当に欲しいんですか、と問うた。



「だって、壊れてるから。」

「壊せばいいじゃないですか。」

「直さなきゃ。」

「どうして直すんですか。」


パズルのピースは未だに僕の手の中。

もう少し手に力を込めれば、簡単に半分に折れてしまうのだろう。




「直さなきゃ。」


まるで何かに追われているように切羽詰まった顔で、彼は笑った。