「あ、黒子っちいた!」

「ああ、なんだ君ですか。」

部活が終わって火神君と帰ろうとすれば、どうにも僕を待ち伏せしている黄瀬君の姿。

決して待ち合わせではない。待ち合わせた覚えはないのだから。



「黒子っち黒子っち、今日も可愛いね。」

「君は今日も鬱陶しいですね。」

「そんなつれない黒子っちが好き!」

「僕はそんな君を本気で気持ち悪いと思っていますよ。」

ええい鬱陶しい、と至近距離にある顔を押し返せば、それでも彼は懲りない。

余計にぐりぐりと頭を押し付けてくるものだから、とりあえず弁慶の泣き所に踵を入れておいた。



「…お前ら、相変わらずそんなんか。」

「火神君もやって欲しいですか?」

「いやいやソレと一緒にされても困る。」

「冗談ですよ。だって火神君大好きですから。」

「はいはい。黄瀬に言ってやれ。」

「彼には言いませんよ。」

なんで、と言われたけれど、さあね、とはぐらかしておいた。

それでも、薄々気づかれている気がする。





「じゃ、黒子、オレ先帰るから。」

「あ、はい。」

「じゃあな。」

「はい、また明日。」

わしわしと髪を撫ぜてくれる彼は本当に大好きだ。

ぎゅうぎゅうと抱きついていっそ離れたくないくらいには好きだと思う。



でも、



「黒子っち、かーえろっ!」

「ああ、まだ居たんですか。」

「やっぱりつれないスね!」

「はいはいはいうるさいです。」




この人は、だいっきらい。だ。