「ピースがなくなっちゃった。」

「そうですか。それはよかったですね。」

「よくないよ。どうしよう。」

「どうしようもないんです。無いままでいきましょう。」


「出来ないよ。」

「どうして。」


「出来ないよ。」

「どうして。」





「だって、だって、皆、オレが好きなんだ。」



ピースが減った。

ピースが壊れた。

ピースが汚れた。

ああどうしよう、オレがオレでなくなっていく。


言って顔を覆った彼に、都合よく僕の足元に転がっていた鉄パイプを突き付けた。





「安心しなさい。」

「え?」



すいと鉄パイプを振りあげて、自分の肩に載せた。

ある程度の重量が、逆に動かしやすい。




「僕は、君がだいきらいなんですから。」




にいと自らの口の端を上げて告げた。

少しでも彼に殺意が伝わればいいと思う。





そうすれば彼は、とても嬉しそうに笑うのだ。





「そっか、ありがとう。」





それでも、人に礼を告げるときは、せめて涙は流すべきではないと思う。